はじめてのAutoCAD LT 2000

をお買いあげ頂いたみなさまへ


 私の著書をご購入いただいて、ありがとうございました。
 2D-CADの世界標準とも言えるAutoCAD LTをより多くの方に使いこなしていただけるよう、 一生懸命執筆・作成致しました。
 みなさまが、この本をステップにして、AutoCAD LTを、ドラフターよりも身近で 便利な製図道具としてお使いいただけるよう、応援しています。

 このページでは、本書のFAQを掲載いたしますので、参考にしてください。


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FAQ目次

メッセージ「グリッドが細かすぎて画面に表示出来ません」について

レイアウトタブを使わずに印刷したい

寸法線の記入について

「画層」について

「縮尺」について


メッセージ「グリッドが細かすぎて画面に表示出来ません」について

質問

 図面を開いているとき、ふと気がつくと、コマンドラインに「グリッドが細かすぎて 画面に表示出来ません」と出ているのですが、何がいけないのでしょうか。

回答

 「グリッドが細かすぎて画面に表示出来ません」のメッセージは、エラーではありません。 単にグリッドが画面に表示できないだけなので、印刷・作図には支障ありませんし、 グリッド設定を直せば、このメッセージは表示されなくなります。
 このメッセージは、プレビューを行うとか行わない、などの問題ではなく、タブを開いた瞬間か、 もしくは縮小ズームなどで画面表示の倍率を変更した瞬間に表示されます。現在のズーム表示状態が、 グリッドを表示しきれないほど縮小している場合に表示されるものですから、図面範囲内に設定されて いる部分をどんどん拡大していけば、いつかはこのメッセージは表示されなくなります。
 ちなみにグリッド設定は、P53/54ページで紹介している「dsettings」コマンドで変更できます。 通常、レイアウトタブだったら、基本が用紙サイズなので、グリッド間隔は「10」、つまり 1センチ程度にするのが良いでしょう。ちなみに、モデルタブとレイアウトタブでは、グリッドは 別々に設定します。モデルタブでグリッドを「1000」間隔にしても、レイアウトタブには影響しません。 じゃないと、平面図とか書くときには困っちゃいますからね。グリッド「10」じゃ、仕事になりません。 モデルタブでのグリッド設定は、描く対象に応じて、適宜変更してください。

 なお、17インチモニターにて、ウィンドウ最大化、ツールバー3段、コマンドウィンドウが 5行表示できる状態で、どれくらいのグリッド密度まで画面に表示できるかを実験してみました。 すると、およそ、375×187升ぐらいまで、グリッドを表示することが出来ました。
 これは、例えば、グリッド間隔を100、単位をミリとすると、37500ミリ×18700ミリの矩形を 全画面に最大表示することが可能な状態です。

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レイアウトタブを使わずに印刷したい

質問

 現状できあがっている図面を、確認用とかにとりあえず印刷したいとき、レイアウトタブを いちいち作成するのは面倒です。どうにかなりませんか?

回答

 こういう場合には、モデルタブから直接印刷を行うことが出来ます。
 モデルタブから直接印刷したい場合は、[モデル]タブの上で右クリックして表示されるメニューから 「ページ設定」を選ぶか、メニューバーから[ファイル]-[ページ設定]とクリックして、 [ページ設定−モデル]というダイアログを開きます。これがモデル空間用のページ設定です。
 [印刷デバイス]タブでプリンタを決め、[レイアウト設定]タブで、用紙サイズ、印刷範囲、尺度を 決めます。

 [OK]ボタンをクリックして、その後印刷プレビューを行えば、どういう状態で印刷が出来るのかを 確認できますので、いろいろと試してみましょう。

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寸法線の記入について

質問

 寸法線の記入は、かならずレイアウトタブで行うべきですか?

回答

 寸法の記入自体は、特にどこで、と限定することなく、どこからでも行えます。
 それをあえて「レイアウトタブから」行うよう、本書で解説しているのは、印刷や、尺度変更など、 現実の作図の現場でよくある問題を解決するとき、レイアウトタブから寸法記入を行っておくと その変更が実に簡単に出来るためです。よりAutoCAD LTの優れた点を発揮できるのです。
 さらに、レイアウトタブから寸法記入を行うことにより、本書で大前提としている 「JISに則った製図」をより効率よく実行することが出来ます。

 モデル空間のみで寸法記入を行いたい方には、P238の5-4-3で解説している寸法スタイルの設定をする 必要があります。
 具体的には、寸法記入を開始する段階でまず印刷尺度を決定します。つぎに、5-4-4の手順4番で 設定している「レイアウト尺度を適用」のチェックを外し、その真上の「全体の尺度」のチェックを ONにして、右側の升にその尺度計数を入力します。

寸法スタイルサンプル

 ちなみに、本書で推奨している寸法線を記入する時のタブは、「レイアウト1」などの レイアウトタブですが、ペーパー空間ではありません。レイアウトタブを開いたとき、 そこにあるのはペーパー空間ですが、その中に配置した「レイアウトビューポート」内の 「モデル空間」です。ペーパー空間から、それぞれのレイアウトビューポート内のモデル空間に 入らずに寸法記入を行うと、現在の紙の上での寸法が記入されます。
 例えば、モデル空間に1000mm角の矩形を書き、それを1/100の尺度に設定したレイアウト ビューポートを作成してレイアウトタブに配置します。すると、紙の上(印刷したとき)では そのサイズは10mmです。これに対し、レイアウトタブ上から、レイアウトビューポート内の モデル空間に入らず寸法記入を行うと、「10」と表記されます。そこで、レイアウトビューポート内を ダブルクリックして、レイアウトビューポート内のモデル空間から寸法記入を行います。すると、 寸法は「1000」と表記されます。実際に一度お試しください。

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「画層」について

質問

 本書でも解説されている「画層」の必要性について、いまいち理解できません。そもそも画層とは何で、 具体的にどのように使うと便利なのか、もういちど説明してください。

回答

 画層とは、P172〜で解説しているとおり、CAD特有の機能で、例えるなら、OHPフィルムの 1枚づつのようなモノです。

 CADの利用方法として例えば、建物の建築時を考えてみてください。

 同じ建物の平面図に、強電屋さんは電線の配管配線図を書き、設備屋さんはエアコンのダクトを書き、 内装屋さんは天井面や床面の仕上げを書きます。
 これらは、1枚づつ別の図面にして出力したいときと、重ねて取り合いを検討したいときがあります。 例えば、設備屋さんの施工業者は、どこにダクトを取り付ければいいのかさえ解れば他のモノは いりません。ですから、それだけが解る図面を求めます。
 しかし、設計者は、強電屋さんの配管にぶつからないかや、天井の仕上げ面のどこに対して 吹き出し口をつけるのかを考えます。そのためには他の分野の図面も見たくなります。

 そこで、一昔前までは紙でそれらの図面を受け渡していました。
 しかしこの方法は、たとえば青焼き機の不調によって、寸法がずれてしまったり、寸法値を 書き損じでいることがあります。

 そこで、データでこれらの図面を貰うことにしました。データで貰えば、寸法文字を 書き間違えたり、読み間違えることはありません。寸法は自動で記入されているからです。 さらにその上に自分の設計する図面を書いていけば、元のデータを一から起こす必要もなくなりますし、 何より間違うことはありません。
 しかし、同じ色で上から書いてしまうと、図面がぐちゃぐちゃになってしまいますし、さらに、 それをそのまま印刷すれば、全業者のデータが重なって読みづらく、施工業者から苦情が来ます。
 そこで、CAD特有の「画層」が生きてくるのです。

 例えば、建築が「建築」という画層上に、青い線で建築図を書きます。
 その上に強電屋さんが「強電」という画層を作成して、赤い線で配管図を書きます。
 さらに内装屋さんが「内装」という画層を作成して、緑の線で内装の仕上げを書き入れます。
 このデータを貰った設備屋さんは、「設備」という画層をさらに作成し、オレンジ色の線で設備図を 書きます。
 設備図を書き入れるときは、まず「建築」画層だけを表示して基本的なルートを記入し、「強電」 画層や「内装」画層を必要なときだけ表示して、取り合いを見ます。
 印刷するときには、「建築」画層と「設備」画層だけを印刷すれば、施工業者も文句無しです。

 これは、それぞれの業者が、それぞれの図面を、OHPシートに書いている状態を想像すれば、より わかりやすいでしょう。
 取り合いを見るときには、建築、強電、内装の全部のシートを重ねて写し、実際の施工業者に 図面を見せるときには、建築と設備のシートだけを重ね、他のシートを外しているような状態です。

 ちなみに、画層「0」とは、P173の下4行間で解説しているとおり、AutoCADLTが自動的に 作成している特殊な画層です。敢えてユーザーが作成するものではありません。
 特殊な画層、と言っても、別に利用方法に制限があるわけでは無く、最低限の画層として 必ず存在する、というだけのことで、名前の変更と削除以外は、他の画層と同様に行うことができます。

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「縮尺」について

質問

 本書の手順に従って作図していると、ふと、縮尺が気になるときがあります。手で図面を 書いていたときには、先に紙と縮尺を決めて、その縮尺専用の定規を使っていたのに、なんとなく 不安です。

回答

 尺度は、AutoCAD LTの場合は、印刷時以外に意識することはほとんどありません。

 1/100の図面を作図するときも、AutoCAD LTでは、まず何も考えずに、モデルタブ(モデル空間)上に、 その寸法通りに記入していきます。
 ただ、その基準を[メートル]にするか、[インチ]にするか、それとも[ミリ]にするかを決める必要が ありますが、これも、本人の心の中だけでとりあえずは構いません。心の中で、「この図面の数値は 全部ミリ、だ」と決めたら、その後記入した「1000×2000」の矩形は、1m×2mの矩形なのです。
 外部参照を多用する場合や、どうしても気になるようなら、P52のunitsコマンドで単位のみ 設定しておきます。

 実際、CADで図面を作図するとき、尺度を気にしなくてはいけない場面というのは、図形が できあがった後にしかないのです。

 手書きで図面を作図するためには、まず紙のサイズを決め、尺度を決めます。
 この手順に馴染んでしまった人には、ここがまずとっつきにくいところだとよく聞きますが、 CADとはそういうものです。

 CADの作図エリアには、紙が有りません。
 紙は、作図したデータを印刷するためのものでしかないのです。

 CADでの作図は、例えるなら、とても巨大な紙に、実寸で作図するようなモノです。
 この巨大な紙は、理論上無制限に広げることができます。そこに等倍で記入した図面を、 コピー機で、持ち歩けるサイズの紙に拡大や縮小して印刷するような感覚なのです。

 では、尺度を実際に考える必要が出たとき、それをどこで設定するか、ということですが、 これは、P214からのレイアウトタブの設定を読んでください。実際、これしか尺度を考える タイミングは無いのです。
 あとは、図面内に文字を記入したいときなどに、個別に考える場合もありますが、基本的には、 このP214からのタイミングだけです。

 ただし、レイアウトタブを使わず、モデルタブだけで作図、印刷を行う場合は、若干事情が 異なります。
 寸法スタイルの設定時、そして印刷コマンドの実行時に尺度を考える必要が出てきます。
 しかしこの方法は、せっかくの便利なレイアウトタブの機能を使わないことですから、本書では、 詳しく解説はしていません。

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